子どもでも
理解はできます

父さん、母さん・・・・

貴方達は今

後悔していますか?

僕達が貴方達を恨んでいると思っていますか?

もしそう思うのでしたら

それは間違えです

僕らはあなた方をとても尊敬しています

たとえ寂しくても、僕らは我慢できる

そのために僕らに居場所を残していってくれたんですよね?




















ミーンミーン

蝉の鳴く真夏日

僕らは美鶴さんと共に出かけていた

「久遠様、琉榎様、穂乃陽様、ちゃんとご挨拶してくださいね?」

「「はーい」」

「分かってますよ」

父と母の墓参りだった

父と母が亡くなってから3年が過ぎた夏の日だった

(父さん・母さん・・・・・)











どうして?

どうして僕をおいていくの?

どうして・・・どうして・・・・



今考えれば分かることだ


父も母も、鬼斬丸・鏡の破壊に“命”を使いすぎたのだ



けれど幼い子供にとっては、信じられなかったのだ

だってあの人たちは僕に微笑んでいたのだ

毎日毎日

その笑顔を見られなくなる日が来るなんて・・・

人に”死”があることを

幼い僕は知らなかったのだ









悲しい気持ちを

追いつかない気持ちの処理を

子供の僕はどうすれば良いのか分からなかった









『どうして僕を置いていったの!?』







どこにこの気持ちをぶつければいいの?






『僕は・・お父さんとお母さんが大好きなのに!!!』





泣き喚くことしかできない自分に腹が立った







『僕は・・・・どうやって生きていけばいいの?』






貴方達なら、こう答えるでしょう





『そのために”居場所”を残して逝ったんだ』




って・・・


じゃなきゃこの村をとっとと出て行っただろう
玉依姫だから村に残らなきゃいけなかった
…違う
出て行きたくなかったのだ
僕のために
妹と弟のために
そして仲間がいたから・・・

だってそうでしょう?
あんなに悲しい思いをした場所なんだ
僕だったらすぐに村を出て行く

でも・・・父さん達がそうしなかった理由は・・・・

分かっていたんだ

長くはないと

いずれ僕達を置いていってしまうことを

だから居場所を作ったんだ






「僕は早くに逝ってしまったあなた方を恨んではいません。
 弟達もです」




ただ・・・・

ただ・・・・・






「もっとたくさん一緒に居たかった・・・」





一緒に笑いあって居たかった

「でも、もうそれもできないんですね・・・」

だから決めたんだ

「僕が双子達にとっての父さん達になってあげるって」


僕が寂しいように・・双子達も寂しいはずだから

「だから安心してくださいね」




僕たちは大丈夫です





でも・・・たまには泣くことを許してください・・・

僕だってまだ子供だから

たまには泣かせてください





「久遠様。早く帰りましょう」



僕は美鶴さんの声で立ち上がる


「そうですね」



一年前にはもう戻れない


「今行きます」


僕らは前に進んで行く…