終わったわけではない、コレからが始まり
陰と陽のように
対になるものがある
その事に気づけたのは
いったい何時だったのだろうか?
そして、”気づいた事”に気づけたのは何時だったのか?
”・・・・対価を・・・・”
人には大きすぎる力を使うという事について
私は考えた事があっただろうか?
私が使う時空跳躍
この力の事を考えた事があっただろうか?
私が使える力、白龍の逆鱗
この力を使う事
それはとても・・・危ない事だったということを
私がもう少し早く気づいていたのならば
今とは違った結果になったのだろうか?
大きすぎる力は、まるで麻薬のように
ゆっくりと時間をかけて、体を蝕んでいった
信じられないであろう出来事があった
源平合戦を繰り広げる時空に、確かに私はいた
大切な・・・大好きな人の死を見たくないがために、何度も時空を廻った
そして訪れた別れ
貴方の事が大好きです
それなのに、そちらの世界を選べなかった私を許して
貴方の守る熊野が大好きです
でも、両親を捨てることも出来なかったの・・・
「先輩、今日は早いんですね」
朝、学校に向かうために家を出て聞こえてきた声
「譲君。私だってね、偶には早く起きるよ?」
「そんなに怒らないでください」
「怒ってないんだけどな」
「それより、時間大丈夫ですか?」
「・・・・・・譲君!!走ろう!!」
そういって学校へと駆け出す
その甲斐あって学校には間に合った
「じゃぁね譲君」
譲君と別れて教室に入る
入ると同時にチャイムがなって、先生が入ってくる
その後の記憶なんてない
ただ、先生が何かを話している声が聞こえてくるだけ
頭の中では、先生の話なんかよりも
昔のことを思い出す
昔といっても、ほんの半年前
半年前までは、今の日常に将臣君がいた
でも、半年後の今。
将臣君はもういない
この世界での半年前のほんの一時間
ほんの一時間の間に、私は何年もの時間を遡り
源平合戦の最中である鎌倉時代にいた
大好きな人を、何度も失った
見るたびに恐怖を覚えるようになった
あなたを何度も殺した炎
その記憶が現在も、私に根付いているのだから
夢というわけではないのだろう
なにより・・・
あの時空で、白龍の神子となった私を守る八葉の一人だった
将臣君もいない
あの世界の事は、譲君も覚えているのだ
だからこそ言うのだ
”残らなくて良かったんですか?”
何度も何度も聞かれた
その度に否という答えを返す
”私は私の世界に戻るために、戦ってきたんだよ?”
後悔なんてない
そんな格好いことなんて言えない
けれど・・・うすうす気づいていたのだ
あの世界にいてはいけないって
「望美?今日の授業終わっちゃったよー」
「え?本当だ・・・じゃぁ私帰るね」
「大丈夫?・・・また明日ね」
「大丈夫。また明日」
そういって友達と別れる
家になんて帰らない
帰れない
「嫌な予感ほど・・・当たるんだもん」
だから、今日は帰れない
だって心配かけちゃうんだもん
「あはは・・・こんなに・・・体中が痛い・・・のは・・・・・初めて・・・・かな」
体中に激痛が走る
いくら源平合戦の最中で戦女神と呼ばれていても
この痛みには耐えられない
意識が遠のいていく
ここが終焉の場所となるのか
「最後は・・・あなたと出会えたあの場所が・・・」
桜が舞う京のあの場所
求めた場所には劣るけれど
桜が乱舞する山の中
「・・・・ぃ・・・輩!!!」
完全に意識がなくなるときに
私を呼ぶ声が聞こえたような気がした
「先輩!!」
ふと胸騒ぎがした
これは八葉の力のおかげか
それとも、幼馴染としてのカンなのか
源平合戦から戻ってきてからの春日先輩の体調は、決して良いとはいえなかった
むしろ・・・・悪すぎる
だから気をつけていたのだ
それなのに、今日の放課後はどうしても先輩のところにいけなかった
そんなときに限って起こるのだ
悪い事は
「先輩・・・先輩!!!」
何度呼びかけても、体を揺すっても目を覚まさない
「先輩・・・・・のぞみ・・ちゃん、やはり貴女は・・・・ここにいるべきではないんです」
あなたの居るべき場所は、あの時空だから
”神子・・・白龍の神子よ・・・・・・・対価をもらう時が来たぞ”
まって・・・まだ・・・もう少し・・・
”我が待つ必要があるのか?”
待って・・・・・・
”お前の大切なものが居ないのにか?”
大切なもの・・・
”居らぬであろう?ここには”
いない・・・ここに彼はいない
”我が”
でも・・・まだ駄目だ
”それは・・・心残りがあるからであろう?”
そう・・・まだ彼に逢っていないから
”逢わねばならぬのだな”
逢わないと
そして
伝えないといけないんだ
”それがそなたの願いなのならば”
私の願いが叶うたびに
深まる私の罪
私が想う相手は
私とは次元の違う人だから
”それでも神子は逢うことを望むのであろう?”
そう
私は彼に逢うことを望む
そして悔いを無くすのだ
私の世界にピリオドを打つために