ずっとなんて無いけどさ、生きている限りは・・・
こんなに緊張するのは久しぶりだ
前世で鬼と戦ったとき以来だ
そして、今回もまた
前世に関する緊張
・・・千鶴と向き合うという事への緊張」
千鶴が嫌いなわけじゃない
ましてや、自分は過去の記憶を取り戻した
嫌いどころか愛しいのだ
だが・・・
「千鶴はさ・・・覚えてないんだろ?」
その事が引っかかるのだ
「・・・というより、覚えていないのは、もう千鶴だけだろうね」
あまりにも辛い記憶
「過去の事にさ、決着はつける」
これは自分なりのけじめ
そして、覚悟
「それは千鶴にとって、酷な事だって理解したうえでだろう?」
そう。それは、千鶴にとっては辛い事でしかない
「それでも、お前は会うって言ったんだ。だったら逃げるなよ」
薫の言葉が胸に突き刺さる
「自分の覚悟を曲げるやつは下衆だよ?ただでさえ、僕は君の事を認めていないのに」
それは、挑発なのか真意なのか
「お前より下衆なヤツなんかいないから大丈夫だ」
喧嘩だったら買ってやる
でも
「俺が逃げるわけないだろ?男は一途なんだって誰かが言ってた気がするし」
誰かが言ってたきがする
そう、誰かが言ってた気がする
それは、何時聞いたのだろう?昔なのか今なのか・・・
「じゃぁ行けばいいだろ?目障り」
「お前に言われなくても行くから」
そして扉を開ける
半ば強制的に
「ちゃんと・・・千鶴を幸せにしろよ」
最後に聞こえたのはそんな言葉
振り返らなくてもいいや
今は、千鶴と向き合うのが第一
だから、部屋に入って辺りを見渡す
「千鶴」
その声に、千鶴は驚いたように俺を見る
「えっ?平助くん!?」
「うん。千鶴にさ、話したい事があるんだ」
「話?うん。何、平助君?」
あどけない表情
それは、昔を思いだしていない何よりの証拠
「千鶴は俺を怨んでる?」
昔の事を知らない千鶴
それでも、俺は率直に聞く
きっと千鶴は、思い出すのを恐れている
だから記憶がない
だったら・・・
「無理やりにでも思い出してもらう」
「平助・・・君?」
「千鶴との約束を守れなかった俺を、千鶴は憎い?」
「何のこと?私は・・・平助君に守られるような状況にいたことないよ?」
「千鶴、ちゃんと思い出せ!!もう目をそむけるのはやめよう?」
目をそむけるな
そむけたら、そこが終着地点になってしまう
「千鶴!!!」
「いやぁぁあああああああああああ!!!」
無理やりでもいい
だから思い出せ!!
そう思った結果はどうだろう?
「千鶴!!千鶴!!!」
「う・・・・・あぁぁぁああああ」
頭を抱えてうずくまる千鶴
「千鶴!!」
そんな千鶴を抱きしめてやる事しか出来ない自分
「千鶴・・・大丈夫だから!!」
抱きしめる。ただ抱きしめる
千鶴が窒息してしまうのではないかという位に
「嫌だよ!!置いていかないでよ平助君!!!」
俺ではない”俺”を探している千鶴
「千鶴!俺はもう千鶴をおいては行かないから!!!」
さっきよりもずっと強く千鶴を抱きしめる
「大丈夫だから・・・もう置いていかない」
腕の中の千鶴が落ち着いてくる
「置いていってごめん。もう置いていかない、ずっと側にいる」
「・・・・・・・・本当・・・に?」
「本当。俺はもう・・・羅刹じゃないから」
もう俺は羅刹じゃい。人だから・・・
「今度はさ、消えるまでじゃなくて”死ぬまで” ずっと千鶴の側にいるから」
「うん・・・今度は・・・二人で最期を迎えようね?」
「あぁ・・・今度こそ、俺はお前の側にいるから」
あの日から数日が経った
「平助君遅い・・・」
あの日の事は、まだ千鶴に心の傷として残っているだろう
だけど
「千鶴ごめん!!遅れた」
「本当に遅いよ、平助君」
「ごめん!!急いだんだけどさ・・・」
「だけど?」
俺は黙る
この先を言うのは、自分にとっては嫌な思い出でしかない気がする
「・・・・左之さんとぱっつぁんに引き止められたんだよ」
”なんだぁ?平助、お前千鶴ちゃんに会いに行くのか?”
”平助は分かりやすいからな”
「原田さんと永倉さん・・・私、記憶戻ってから会ってないな・・・」
少し悲しそうな顔をする千鶴
「今度あわせてやるからさ、今は楽しもうぜ?」
「うん」
手を繋いで共に歩いていく
遠い昔にした約束
”俺は側にいるよ”
その約束を今度こそ守るから
日が落ちても、月が昇っても
二人を死が別つ時がくるまで
ずっと側にいるから
〜あとがき〜
ここまで読んでいただいてありがとうございました
私にとっては、長編シリーズを初めて完結させました!!
自己満足から生まれるお話なので
皆様に楽しんでいただけたのかは、分かりませんが
楽しんでいただけたのならばとても嬉しく思います
只今は、新連載の設定を模索中です
新連載は、私自身、皆様に納得してもらえるような作品を
作り上げていきたいとおもっているので
設定等をしっかりと考えていきたいと思っているので
公開まで時間がかかると思いますが
楽しみにしていただければ嬉しいです
2009/07/08