この想いは決して嘘じゃないから


それは一本道が別れてしまった

  ただそれだけ

  だが、再び一本道になるには

  長い長い時を要するのだった





  夢を見る

  ”大好きだよ”

  私は照れながらそういっている

  幸せだな

  そう感じる私がいる

  私が愛しいと感じる

  貴方は誰ですか?

  霧がかかったように思い出せない

  遠い昔に愛した貴方は
 
  今何処にいるのでしょうか? 






「千鶴ちゃん。ボーっとしてどうしたの?」

  私はそんな声で深い思想のそこから意識を浮上させた

  「・・・・・・お千ちゃん。」

  千姫ちゃんは私の友達

  小学生の時に出会い、それから現在・・・高校生になってもなお一緒にいる

  いわば親友だ

  「何?そんなに不安そうな声だして。」

  「ううん。大丈夫だよ?心配しないで」

  いえるわけが無い

  自分でさえ曖昧なのだ

  そんなことを人に話せる訳がないのだ。

  「まぁ・・・無理にとわ言わないけど、いつでも相談のるよ?」

  お千ちゃんは優しい

  「ありがとう」

  大好き_______友達として

  じゃぁ夢で見た彼は?

  やはり彼も大好きなのだ

  ではどういう意味の大好き?

  私は一人悩む

  「それじゃぁね千鶴ちゃん。私、今から君菊のところ行かなきゃならないから」

  放課後になり、いつもの会話が行われる

  「うん。君菊さんによろしくね。」

  お千ちゃんは、放課後になるとお千ちゃんのお姉さん・君菊さんのところに行く
 
  「千鶴ちゃんさ、何か・・・・思い出したりしてる?」

  お千ちゃんは不安そうに私を見ている

  「思い出す・・・・ってなにを?」

  私には何か思い出すべきことがあるのだろうか?

  夢に出てくる男の子

  彼は・・・

  「ううん。なんでもないよ。」

  お千ちゃんはそういって教室からでていった。

  一人になるといつも思う

  私を呼ぶ貴方は誰ですか?

  私の何ですか?

  私は・・・・貴方を知りたい

  優しく、儚い・・・声のする

  「貴方に・・・逢いたいです。」



  ”・・・・大好き・・・・”
  
  お前が大好きだよ

  顔も知らない

  頭に残っている愛しい声だけが頼りだけど

  俺はお前が好きなんだって思う

  それは心ではなく

  体が覚えている恋

  「おい!平助!何ボーっとしてんだよ。土方さんがさっきからずっとを見てるぞ。」

  「え!?ってうわぁぁぁ!」

  意識が浮上したとたん竹刀が顔をかすりそうになった

  「なにすんだよ、土方さん!!」

  「そりゃこっちのセリフだ!何考えてやがった。」

  あきれたように問われた

  「別に何だっていいだろ!」

  「平助のことだ。食いモンのことしか考えてねぇさ。」

  「それは新ぱっつぁんだろ!?」

  「うるせぇ!今はミーティング中だろうが!」

  「でも、俺が部室入ってからさー土方さん何も話してねぇじゃん!!」

  「そりゃお前らと総司のせいだろうが。」

  「酷いな〜土方さん。人に自分の罪をかぶせちゃダメじゃないですか。」

  「俺の罪じゃなくお前の罪だ。」

  「・・・・土方さん、こんな奴らは無視しましょう。・・・話って何でしょうか?」

  「あぁ、今度練習試合に行くことになったんだよ。」

  「それだけでしょうか?」
 
  「それって別にどうでもよくない?」

  「まぁ・・・まて、相手がな・・・・・あの鬼里学園なんだよ。」

  「「「「!!!!!!!!!?????」」」」

  「ほら見ろ。てめぇら全員黙るじゃねぇか」

  「だってさぁ!土方さん!!!それマジ!?」

  「本当だ。」

  「へぇ〜土方さん、がんばったんですね。アノ鬼里学園とだなんて。」

  「まぁな。・・・・・試合もそうだが・・・・・それよりも気になることがあってな・・・・。」

  「ん?何かあったのかよ?」

  「行けば・・・大体の奴らは分かるさ。」




  「千鶴、部活に行くよ。」

  「え?あ・・・ちょっと待って、薫!」

  「・・・・・・早くしないと、アイツがお前を迎えに来るかもしれないぞ。」

  「・・・・それだけは嫌!」

  「なら早く行くよ。」
 
  「うん。」

  「・・・・そういえば今度、練習試合組むらしいよ。」

  「え!?珍しいね。」

  「風間部長のことだから、いつもの気まぐれだろう。」

  「・・・・でも、何に大しても感心がない千景さんが了承することって・・・あるのかな?」
 
  「まぁ・・・いいんじゃない?俺達はただの部員とマネだ。」

  「う・・・うん。」




  「なぁなぁ土方さんが気になることってなんだよ?」

  「いいかげんうるせぇ!」

  「別に教えてくれたっていいだろ!」

  「行けば分かるっていったろうが!」

  「だって分かってないの俺だけじゃん!左之さんも新ぱっつぁんも総司も一君もなんか知ってるみたいだったしさ!」

  「・・・・・・・お前のための練習試合だからな。」

  「は?」

  「・・・黙っとかねぇとお前だけ連れてかねぇぞ!」

  「そりゃねぇよ!土方さん。」


  ”大好きだよ”

  ”おいていかないで!”

  ”また  に恋をするんだ”

  再び出会う君は

  前世と同じで

  僕を思ってくれるでしょうか?


  再び出会う貴方は

  再び私を愛してくれますか?

  交わらない想いが

  交差する一歩手前であった



  「千鶴、いよいよ練習試合・・・なんだよね?」

  「そうだけど・・・どうかしたの?薫」

  「いいかげんに相手がどこか教えてくれても良くない?」

  「ごめんね・・・あの・・・・私も知らないの。」

  「・・・・・・・・は!?千鶴マネージャーだろ?」

  「なんだか・・・風間さんが・・・・絶対に教えてくれない・・・。」

  「はぁ?アイツ何考えてやがる!」

  「・・・お前達よりも2つ上の俺に対して、その口調はなってないな」

  「・・・・・・・いきなり俺達の会話に入ってこないでくれない、ブチョウ?」

  「まぁいい。・・・・相手はお前が最も嫌悪している奴ら・・・だ、薫。」

  「・・・・・・・へぇ・・・・・もしかして見つけ出したとか?」

  「俺がそんな面倒なことをすると思うな・・・・。」

  「じゃぁ向こうから?」

  「あぁ・・・・・・久しぶりに楽しめそうだ・・・・。」

  「なんの話をしているんですか?」

  「千鶴は知らなくていいよ。もう少ししたらわかるだろうし・・・ね」

  「そう・・・・なの?」

  「そうだよ。」

  「千鶴・・・校門あたりまで迎えに行って来い」

  「っえ!あ・・・はい!」

  「目立つ奴らだからすぐ分かる。」

  「分かりました!」

  「わざと行かせなくてもいいんじゃない?ブチョウ」

  「いずれ会うのならば、今会わせるのが俺なりの優しさだが?」

  「・・・・・そんな優しさなんてないね」



  「へぇ・・・・ここが鬼里学園?でっけぇ!!」

  「平助。はしゃぐな。ここにおいていくぞ!」

  「はしゃいでないし!」

  「はしゃいでる平助君は置いといてさ、ここ本当にアイツラいるの?」

  「あぁ・・・・・俺はあったからな・・・・。」

  「土方さんの宿敵にですか?」

  「てめぇの宿敵もいるんじゃねぇか、総司?」

  「えー。僕は絶対に会いたくないな。」

  「それより土方さん、剣道場ってどこだよ?」

  「あぁ・・・・迎えをよこすっていってたぞ・・・。」

  「すっごい嫌そうな顔ですね。」

  「嫌に決まってるだろうが!!」


  「・・・・・・・目立つ集団・・・・・・。」

  探さなくても校門に近づくたびに核心が生まれる

  「あの人たち・・・・かな?」

  見つけたのは良いけれど声がかけずらい

  だが・・・・

  「はやくしないと・・・・風間さんに怒られる・・・・。」

  風間さんのことは少々苦手だ

  なぜかは分からないが、体が強張る

  「・・・・・・いこう・・・・。」


  「俺なんかより土方さんたちのほうが騒いでるじゃんかよ!!!」

  「うるせぇ!」

  「僕は悪くなんか無いよ。」

  まだ続いていた口げんか

  そんな中、私は意を決して話しかける

  「あの・・・・・!」

  「あ?」

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  すっごい不機嫌な顔で返答された

  「あの・・・・・今日練習試合をすることになっている相手校の方でしょうか?」

  「「「「「・・・・・・・・・・・・・」」」」」

  「・・・・・あの?」

  何故か無反応

  「おまえ・・・・・マネージャーか?」

  「あっ!はい。鬼里学園剣道部マネージャーの雪村千鶴です。」

  声をかけられた瞬間息をするのを忘れた

  彼女がいたから・・・・

  平助は思い出していないようだが

  平助以外の皆が息を呑んだのが分かった



  神様はなんて残忍なのだろうか?

  幸せになるべき二人が

  どうして全てを忘れているのだろうか?

  神は時として残酷で

  引き戻せはしない時を廻らせる

  神よ・・・・

  あなたは最期くらい

  二人を幸せにする

  路を作ってくれてますか?

  「あ・・・あの?」

  驚きすぎて硬直していた平助以外の俺達は

  千鶴の声に意識を戻した

  「あ・・・あぁ・・・千鶴ちゃん・・・・だっけ?」

  「はい!・・・早速ですが剣道場へお連れしますね」

  「あぁ・・・・。」

  「・・・・・・・ねぇねぇ、千鶴ちゃん?」

  「え?なんでしょうか?・・え・・・・と・・・・」

  「沖田総司だよ、千鶴ちゃん。」

  「え・・と、沖田さん、何でしょうか?」

  「・・・・・・・僕のこと・・・・覚えてたりしないよね?」
 
  「え・・・・・?あの・・・・・どこかでお会いしましたか?」

  ・・・・・・・・・・ため息をついた

  「うん、”どこか”で・・・あったことがあったのかもね?」

  「え?・・・・・・・・・・・・・・すみません・・・・思い出せません。」

  千鶴ちゃんは本当に申し訳なさそうな顔をしていた

  「何だよ総司ーー!会ったことあるのかよ!?」

  自分ひとりだけ状況についていけない平助が不満の声をあげる

  「うるさいよ、平助君。」

  「なんだよ!!!!俺だけ仲間はずれとかひどいじゃん!」

  「平助・・・だまらねぇとお前だけここにおいていく。」

  「またそれかよ!ひっでぇじゃん、土方さん!!」

  「あの・・・・そろそろ着くので・・・」

  「あぁ・・・すまないな。」
 
  「そういやさ?部長って誰だ?」

  「あぁ、俺も知りてぇな。毎回毎回試合にすら、顔を出さない謎の部長」

  「あ・・・あぁ・・・はい・・・・・。部長は・・・まぁ少し変わってる人でして・・・・。」

  「ほう・・・・・俺のことをそう思っていたのか?」

  その声が聞こえた瞬間に、千鶴は飛び上がるほど驚いた

  「い・・・いえ!!そんなことはありませんよ!風間部長!!!」

  「「「「「は!?」」」」」

  息がそろった間抜けな反応だったと思う

  「久しぶりだな・・・・愚かな人間どもよ。」

  「いやいや!!!!!お前も人間だろうが!」

  「お前らよりは、まっとうな人間だが?」

  「試合にも出てこない部長がか!?」

  「うるさいけど・・・何かあったの?ちづ・・・・・・」

  「・・・・・・・・・薫!?」

  「・・・・・・・・かの有名な沖田さん。・・・ホントにいたんですね。」

  「いて悪い?薫ちゃん?」

  「穏やかな内容だけど、空気は冷たいからそこまで!」

  「あ・・・お千ちゃん」

  「感動の再会のところ悪いんだけど・・迷惑になりそうだからそこでやめようね。」

  「・・・・千・・・・・どこも感動の再会じゃないんだけど。」
   
  そんな薫の言葉を、千姫は無視して平助を見つめる

  「君が・・・・藤堂君?」

  「へ?あぁ、そうだけど?」

  「君 ”も”・・・・忘れてしまったんだね。」

  「なに・・・・いって・・・・・」

  「愚かな人間どもよ、はやくしなければ時間がなくなる。」

  「「「「お前のせいだ!!!!!!!」」」」

  君も?

  忘れている?

  俺は何を忘れてしまったのだろうか?

  だが・・・・・彼女を・・・

  雪村千鶴をみたときに

  どこか胸が痛くなったのだ

  俺は何を忘れているのだろうか?



  ”も”と聞いたとき

  彼以外に誰が忘れているのか不思議におもった

  だけど・・・私しかいなかったのだ

  彼らにあったときにいわれたからこそ、確信がもてた

  ”どこか”であっていた

  彼らに・・・

  彼にあったときの懐かしさはなんなのでしょうか?

  胸の苦しさはなんなのでしょうか?
  


  あのとき出会ったアナタが忘れられません

  胸がどうしても苦しくなりました

  この気持ちはなんなのですか?

  いつも頭を掠めるもやが少し晴れた気がした



  それは練習試合が終わった次の日

  「ねぇ・・・・千鶴。」

  半ばあきれたような薫の声が私の耳に届く

  「何?薫」

  「そんなにアイツラが気になるわけ?」

  「・・・・・」

  薫がいう”アイツラ”とは

  先日練習試合をした高校の剣道部の人たちのことだ

  「何で黙るの?」

  「・・・・・別に・・・・気になってるわけじゃ・・・・」

  「じゃぁ訂正する。そんなに藤堂ってやつが気になるわけ?」

  「・・・・薫・・・断定するんだね。」

  「だって千鶴分かりやすいんだよ。」

  「好きで分かりやすいわけじゃないもん。」

  「それでも、だよ。・・・・で?どうして藤堂が気になるわけ?」
 
  すると千鶴は、小さくぼそぼそっと何かを言っていた

  「なに言ってるの?ちゃんと聞こえるように話してくれる?」

  「・・・・・・・なんでもない。・・・ほら!早くしないと部長が来ちゃうよ?」

  「・・・・まぁいいよ。今回は見逃してあげる。」

  僕は知らない

  昔、僕らが鬼だった頃、千鶴とあったのは、ほんの2回

  だから、僕は知らない

  千鶴がどうやってあの時代をすごしたのか

  「ねぇねぇ、平助君。本当になんとも思わなかったの?」

  「なんだよ・・・さっきから答えてるじゃん!」

  さっきからずっとこの調子だ
  
  「だってさ、平助君千鶴ちゃんとそんなに話さなかったよね?」

  「総司がずっと話してたからだろ!」

  「そうだよ?僕ほとんどずっと千鶴ちゃんと一緒にいたんだよね。」

  「・・・だから?」

  「なのになんで、平助君はなんとも思わないんだろうね」

  「あったばっかなんだから、当たり前だろ?」

  「当たり前・・・・・じゃないんだよ・・・・。」

  「なんで当たり前じゃないんだよ?」

  「なんでもないよ」


  永遠なんてないんだって

  私が一番よく知っていた

  けれど、それでもアナタに会いたかったんだ

  だから”今”を私が生きていられることを

  ”今”を彼が生きていることを

  喜ばずにはいられなかった・・・


  「お千ちゃん?」

  声のするほうには、少し困った顔をしたお千ちゃんがいた

  「ねぇねぇ千鶴ちゃん、・・・千鶴ちゃんはさ・・・・。」

  そこでお千ちゃんは言葉を切って

  一瞬言葉に詰まる

  そして再び口を開く
 
  「千鶴ちゃんはさ、藤堂君のことが好き?」

  「・・・え?」

  「ごっごめんね!いきなり。でもね・・・やっぱり教えて欲しいの」

  真剣な表情

  「・・・・まだ・・・分からないよ。あったばっかりだもん。」

  わたしが言えたのはただそれだけだった

  否、それを言うのがやっとだった。

  「そっか・・・・いきなりごめんね?」

  申し訳なさそうに言うお千ちゃんを見て

  私のほうが申し訳なくなってきた

  「でもね・・・・・平助君を見ていると・・・・」

  お千ちゃんは、私の言葉を聞いて少し驚いていた

  そして、嬉しそうに微笑んでいた

  私は帰宅しようと学校を出るとき

  校門がなにやら騒がしかった

  「・・・・どうしたんだろう?」

  校門を通り過ぎようとしたときだった

  人ごみの中心から声がしたのは

  「千鶴!」

  その声に私は振り向く

  「・・・・平助君!?」

  「あぁ、ちょっといいかな?」

  そういう彼に私は自然と微笑を浮かべて

  是と答えたのだった

  「どうかしたの?平助君が私の学校に来るなんて」

  そういうと少し困ったような笑みを浮かべながら彼は答えた

  「なんかさ・・・・千鶴と一緒にいたいと思ったんだよね・・・なんか・・・落ち着くし、懐かしい感じがするし・・・・」

  「・・・・え?」

  「自分でもよく分かんないんだけどさ、確かめたかった。」

  にっこり笑いながら彼は言葉を続ける

  「今日会ってやっぱり思ったんだ。千鶴といると幸せ?なんだって」

  「あの!・・・私も・・・私も平助君といると落ち着くの・・・・」

  おずおずと私は言葉をつげる

  「でも・・・なんでか分から無い。」

  「それはさ、俺も一緒。何か物足りない感じ。」
  
  そういって彼は私を見つめる

  私も彼を見つめる

  「だからさ、一緒に”理由”、探さねぇ?」

  その言葉が始まりの合図だった・・・・