好き
だから

「大好きです・・・・・・。」

その言の葉はいつか君に届くのだろうか?

「大好きだからこそ・・・・」

貴方にはずっと笑っていてもらいたい





だからこその

















「さようなら。」
















私は、ただただ逃げた
身を隠して
皆に何も言わずに
見つかったら怒られるかもしれない
でも・・・だからといって
ずっと屯所にいるわけにもいかなかった

私のせいで皆は鬼に狙われるのだ

鬼の私がいるせいで・・・
全てが私のせい
だから逃げた
鬼からも
屯所からも
何よりも自分の気持ちからも


逃げられるわけがない
そんなのはわかっているのだ
だけど・・・・

「・・・・・・・っ・・・・だ・・・・・・・・さん・・・・。」

彼の夢の邪魔をしたくなかった
少なくとも彼は私がいたらその夢を
何時までたっても叶えられない

”どうしても出て行きたいときは俺に言え”

その言の葉を実行することはできなかった
何より・・・誰よりも貴方が大切だから
だからこそできないのだ

「大好きです・・・・今も・・・・・これからも・・・・。」

だから・・・・幸せになってください
私は貴方が幸せならそれで良いから・・・・・・




























町を抜け、森に入る
逃げなくてはいけない
屯所のほうは誰も追いかけてこないだろう
追いかけてきたとしても・・・
どこに行くかまでは分からないはずだ
今私がいる場所は私が行きそうなところではないのだ
現に私もドコを走っているのかなんて分からない
四方八方ドコを見ても木しかない
でもそれで良かったのかもしれない
一人でいられる
孤独・・・

涙が流れる
嗚咽を抑えながら・・・
私は泣く事しかできなかった


どれほど泣いただろうか?

私はどこか虚空を見つめていた

音がするのだ

足音が…



ここには誰もくるはずがない
私のことなんて、みんな見捨てているはず
そう願いながら、私は息を潜める
そして次の瞬間


「見つけたぞ…」

声とともに腕を捕まれる

「何故供もつけずに一人でいる?」

「…離して」

「答えろ。我が妻よ」

逃げられない

此処まで来ることによって体力は消耗してしまった

泣きすぎたのと、今の自分の状況から頭が回らない

「…離……し…て」

あぁ

ここで私も終わりだ

良い機会なのだ








鬼としていきる…










「さようなら…」

貴方を幸せにするための言の葉

人間の私を捨てるための言の葉
















今日この日から
雪村千鶴は消えた
心を捨てた








鬼として迎え入れられたのだった

風間千景の妻として…