僕はね、基本我侭なんだよ



お日様が昇ってから随分たつ

今日も僕は、人通りが少なくなり始めた道をゆっくりと進んでいく

はずだったのだが・・・


「まってよ、平助君!!」


今日は違っていたようだ

愛しいあの子が居る

あの子一人ではないみたいだけれど・・・・

それは仕方が無いと、とうの昔に(むりやりだけれど)納得はした

だってあの子とアレは幼馴染だもんね

仕方が無いけどさ

僕だって、君達とは幼馴染だって分かってるのかな?

僕は君達と違って、家がお隣ってわけじゃないから・・・・

年が一緒ってわけじゃないから、君達二人の輪には入れないけどね


「おはよう、千鶴ちゃん」

「あっ、おはようございます、総司さん」

「いい天気だね〜」

「そうですね。雲ひとつ無いお天気ですからね」

そういって、千鶴ちゃんは僕に笑いかける

本当に・・・千鶴ちゃんの微笑みには癒される

今日は朝から千鶴ちゃんに会えて幸せだなぁ・・・

「って総司!!!千鶴にしか挨拶しねぇのかよ!!!」

「あぁ、いたの?平助」

「『いたの?』じゃねぇよ!!さっきから居ただろ!?」

「ごめんね、僕見たくないモノは見えない目を持っているから」

平助に睨みを効かせていう

そうすると面白いくらいに平助は怯む

「・・・・ってそれどころじゃねぇ!!!」

そういって平助は、千鶴ちゃんの手をとって走り出す

「総司が居るって事は遅刻じゃんかよ!!」

「ひどいなぁ、平助は」

「そういいながら、総司さんも走ってますよね」

「一君がうるさいんだよ。でもさ、千鶴ちゃんが居れば

もしかしたら僕が遅刻したこと水に流してくれるんじゃないかなぁって」

一君は千鶴ちゃんに弱いからね

「んなわけないだろ?一君と一緒に、薫までいんだからさぁ」

まるで、あの二人が強敵のような物言いに笑ってしまう

一君とか薫なんかよりも、平助の方が強敵なんだ

なんて・・・絶対に言ってやんないけどさ

「ところで平助」

「なんだよ総司?」

僕は千鶴ちゃんとつながれている、平助の手を見て言う

「・・・・またこの間みたいに折ってあげようか?」

「Σ・・・っ!!!」

平助は千鶴ちゃんと繋いでいた手を慌てて離す

「じゃぁ、千鶴ちゃんは僕と手を繋いでいこうか」

そういって僕は千鶴ちゃんと手を繋ぐ

「え・・・総司さん?」

「平助なんかより、僕のほうが足速いからね。勝手にへばったりしないでよ?面倒だからね」

「面倒!?まってください!!私、運動は・・・」

何かを言いかけている千鶴ちゃんなんか無視して、僕は走り出す

「っちょ!!俺をおいていくなよ総司!!」

「平助はゆっくりきてよねー。せっかく僕と千鶴ちゃんがトキメキあってるのにさー」

「トキメキ!?なに言ってんですか、総司さん!!」

「ほら、しゃべってないで早く行くよ」

「置いて行くなっていってんだろうが!!」

この時間が好き

仲間はみんな恋敵だけれど

それでも、仲間と一緒に居て・・・千鶴ちゃんと一緒に居て

だから学校は嫌いじゃないんだ

でも僕は猫だからね

眠りたいときに寝るし

やりたいことをやりたいときにする

基本僕は我侭なんだ

だからさ

僕の者に手を出す、輩は嫌いなんだよ

そんなことを思いながら、学校につく

僕の策略どおり・・・とまでは行かなかったけれど

随分と軽くなったお叱りに、僕はまた笑えてくる

僕のモノに手を出されるのは嫌い

でも、仲間がいつもと違う表情をするのを見るのが好き

だから、仲間は別格なのだなぁと、改めて思うのだった


そんなことを考えながら、一日が過ぎる

放課後になり、そろそろ部活か・・・と思い部室へと歩いていくときだ

大好きなあの子の声が聞こえてきたのは・・・

「・・・・・ごめんなさい」

「なんで?俺には雪村さんしかいないんだよ?」

「そんなわけ「あるんだよ!」

言い争っているような声

そして

「きゃっ!」

彼女の小さな悲鳴

「付き合ってくれ「そんなわけないでしょう?」

思わず彼女と知らない男の間に立っていた

「なに?君には千鶴ちゃんしか居ない?そんなわけないじゃない」

「なっ!?沖田・・・・先輩」

「僕見たんだよね〜。おととい君が千鶴ちゃんじゃない子に同じセリフで告白してるの」

「・・・・っ!」

「フられたのに、いつまでも付きまとうなよ。みっともない」

「・・・・・っち」

「今度千鶴ちゃんに近づいたら、僕じきじきに斬りにいくから」

彼に聞こえただろうか?

でも、きっともう近づく事はないだろう

千鶴ちゃんに近づくという事は、僕を含め剣道部を敵に回すということだから・・・

「千鶴ちゃん大丈夫?」

「あ、ありがとうございます。総司さん」

「いえいえ、どういたしまして。もう部活の時間だから行こうか?」

「っはい!」

少し頬を染めて笑う彼女

「千鶴ちゃんこれから一人で移動するの禁止ね」

「え?」

「僕か剣道部の誰かと一緒に行動しなかったら、おしおきだからね」

そういって僕は口角をあげる

「おしおきっ!?」

「じゃぁ行こうか」

そういって、僕は千鶴ちゃんの手をとって歩き出す

握った手からは多少の戸惑いを感じるが

彼女の心からの安心も感じる




君はいつも笑っていてくれないと僕は困るんだ

君は悲しんじゃいけない

君はいつも幸せでなくちゃいけない

どうしてそう思うのか分からないけれど

心の底からそう思うし

そうしなければいけないという使命感がある

だから、いつも笑っててよ?



「本当に・・・千鶴ちゃんには癒されるね」

千鶴ちゃんには聞こえないように呟く

「どうかしたんですか?」

「なんでもないよ、ほら行こう。土方さんが怖いからね」

「はい!!」

君と繋がった手

伝わるぬくもり、心

今日明日もずっと、君中心に僕の世界は回る