彼は再び、約束したのだ

プロローグ


  
これは、私が幼い時の記憶

「へいくん・・・へいくんは、ずっとちづのトナリにいてね?」

「ダイジョウブだって!オレは、ずっとちづるのソバにいるよ」

私は近所の子達と一緒に、かくれんぼをしていた

幼馴染の平助君も例外ではなく、その時彼は私と共に遊んでいたのだ

私は隠れる方で、彼も隠れる方で

私は誰にも見つからない場所を探して、そこに隠れる

自分で言うのも何だけれど、隠れるのには自信があった
  
小さい頃から、何故だか私は”隠れる事”が義務であるかのように

隠れることだけをし続けたからであろう

何故だかは分からない

ただ、体が何かを覚えているのだろう

隠れなければいけない

そう私の意志とは関係なく、体は思っているのだ

「ちづちゃ−ん!!いないのぉ?」

「ちづちゃん・・・もう帰っちゃったかな?」

そんな会話を、鬼の子と見つかってしまった子たちがしているとは知らずに

私は、隠れたまま眠っていた

目を覚ましたときには、もう誰も居なくて

空には月が昇っていた

「・・・みんな?・・・・・へいくん?」

その時思ったのだ

”おいていかないで”

「みんな・・・ちづを置いていっちゃったの?」

言葉に出して、膨らむ悲しみ

私は次第に泣き出して、誰も居なくて心細くて

泣いて泣いて泣き続けて

「ちづる!!!」

彼の声が聞こえたときは安心した

「へいくん?」

「ちづるかくれんの、うまいんだもん!!オレ、あのあとずっと探してたんだぞ?」

その言葉に涙がでた

ずっと探していてくれたのだと思うと、嬉しくて、恥ずかしくて、涙が出た

「ごめっなさっ」

「あーあ。泣き止めよ!イッショにおこられてやるから、泣き止めよ」

「うん・・・うん!」

そして私たちは家に帰って、一緒に怒られた

平助君のご両親と、私のお父さんと

3人からのお叱りを受けていたのだから、とても怖かったけれど

横に居る平助君は、ずっと手を握っていてくれた

まるで「安心しろ」とでも言いたげに・・・

そして私たちは約束したのだ

”ずっと傍にいる”

今思えばこの約束は、とても懐かしい気がした・・・